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ギヤモータを商用電源で駆動すると問題なく、インバータ駆動すると振動・騒音が増大することがあります。この原因は、インバータの出力電圧が商用電源のような正弦波でないためモータのトルクリプルが発生しているからです。

ここでは、ギヤモータのインバータ駆動で、振動・騒音を低減する方法について解説いたし ます。

1.インバータの出力電圧波形の改善

インバータのV/f制御で、低速運転でのギヤモータの騒音を低減するには、ブースト電圧を下げることが効果的です。しかし、ブースト電圧を下げすぎると始動トルク不足となりますので、調整時に注意が必要です。

またインバータ出力に出力用ACリアクトルを接続すると、フィルタ効果で出力電圧・電流波形が滑らかになるため、騒音・振動の低減効果があります。

(耐圧防爆仕様のインバータには、出力用ACリアクトルを接続できませんので注意ください。)

2.インバータのキャリア周波数の調整

インバータ出力電圧の高調波成分により、モータ鉄心が磁気的に歪むことで、モータから磁気音が発生します。

インバータのキャリア周波数の設定を増加させることにより、モータの磁気音に起因する振動・騒音の状態が改善されます。

例えば、キャリア周波数を2kHzから10kHzへ変更すると、耳障りな磁気音の音色が改善されて静音となります。

ただし、キャリア周波数を増加させるとインバータのスイッチングロスが増加し、パワー素子の発熱量が増加します。そのため、インバータの取扱説明書に記載のキャリア周波数と許容負荷の範囲内でご使用ください。

3.インバータの不安定現象とジャンプ周波数機能

ギヤモータを機械に設置し、運転周波数を変化させると特定の周波数で、ギヤモータが共振する場合があります。その場合、インバータの周波数ジャンプ機能を使用すれば、不安定となる周波数をジャンプして運転することができます。

インバータ固有の不安定現象は、無負荷や軽負荷で、運転周波数が20Hz付近で発生する現象です。通常は、負荷を増加させることにより、その不安定現象が軽減されます。

インバータの内部回路と負荷状態に起因しますので、ジャンプ周波数機能を使用するか、インバータ容量をアップすれば不安定現象が軽減されます。

4.機械系の振動低減

なお、モータのフリーラン状態で、振動・騒音が消えない場合は、機械系に起因することが考えられます。

機械系に起因する振動の場合は、機械本体またはギヤ部の点検・調査が必要となります。

ギヤモータ側の対策として、取付けの剛性を増すか、取付け部に防振ゴムを使用することも振動低減には、効果的です。

以上、インバータ駆動におけるギヤモータの振動・騒音について、概要と注意点について簡単に説明いたしました。

機械性能の向上となりますので、インバータ駆動時の騒音・振動を極力低減させてギヤモータを使用することをお願いいたします。

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