出力トルク、SF(サービスファクター、安全率)について説明いたします。
ギヤモータの出力トルクはモータが定格トルク(100%)を出力した時に減速機から出力されるトルクです。
(ただし、弊社カタログでSF欄が*と記載されているものについては後述します)
ギヤモータの出力トルクは、モータの定格トルクから算出します。
モータの定格トルクは、9550×容量(kW)÷定格回転数(r/min)になりますので、
組合せの減速機の減速比、減速機効率からギヤモータの出力トルクを求める式は以下になります。
モータの定格トルク
(N・m)
=9550×容量(kW)÷定格回転数(r/min)
モータの出力トルク
(N・m)
=モータの定格トルク
(N・m)×減速比×減速機効率(%)
※カタログでは、モータの定格回転数は4P(4極)の場合、50Hzでは1450r/min、60Hzは1750r/minとして掲載しています。
モータ仕様
:0.75kW 4P 60Hz 1750r/min
減速比
:15
減速機効率
:95%(=0.95)
モータ定格トルク(N・m)
=9550×0.75÷1750 =4.09N・m
ギヤモータの出力トルク(N・m)
=4.09×15×0.95 =58.3N・m
負荷係数とは、減速機にかかる負荷の目安値です。
値が大きいほど減速機にとって負担が大きいことを示し、小さいほど負担は小さくなります。
均一荷重・1日10時間運転を基準(負荷係数1.0)とし、たとえばより長く運転する・瞬間的に大きな衝撃が加わる装置に組み込む場合は、負荷係数は1.2、1.5と大きくなっていきます。
負荷係数の数値・条件は機種によって異なります。詳細はカタログをご参照ください。
減速機が、使用するモータ容量(kW)の何倍の許容入力容量(kW)を持っているかを示す数値がSF(サービスファクター:安全率)です。
SF=減速機の許容入力容量÷モータ容量で計算します。
使用する装置によって想定できる負荷係数が分かったら、負荷係数とギヤモータのSFを比べて減速機の選定を行います。
この時、運転時間と実際にかかる負荷に対して、強度が十分または余裕がある(SF≧負荷係数となる)ような組み合わせを選んでください。
例 1:SFが1.0を超える組合せの場合、モータの能力(容量)より減速機の能力(許容入力容量)が大きく、モータに対して余裕のある減速機が組み合わされていることを表します。
例 2:同じギヤモータでも電源周波数50Hz、60Hzでの運転条件の違いにより、SFが異なる場合がありますので、必ず電源周波数またはモータ回転数でご確認ください。
カタログでは下表の通り、電源周波数50Hz、60Hzでの各枠番のSFを記載しています。
減速機単体(以下レデューサとします)での定格値には、許容入力容量と許容出力トルクがあります。
2項ではSFを減速機の許容入力容量とモータ容量から計算しましたが、減速機の出力軸でのトルク値で計算することもできます。
使用するモータの容量でSFを検討する場合(ギヤモータも同じ)は許容入力容量を用い、駆動される機械側(出力側)トルクで検討する場合は許容出力トルクを用います。
製品名
:サイクロ減速機
枠番
:6090
減速比
:15
入力回転数
:1750r/min
許容入力容量 1.15kW
許容出力トルク89N・m
減速機効率 95%(=0.95)
定格値 |
計算式 |
計算結果 |
---|---|---|
許容入力容量:1.15kW | 9550×1.15÷1750×15×0.95 = 89.4N・m ≒ 89N・m | 出力トルク:89N・m |
許容出力トルク:89N・m | 89÷0.95÷15×1750÷9550 = 1.14kW ≒ 1.15kW | 入力容量:1.15kW |
上表の通り、許容入力容量と許容出力トルクは計算により同じであることがわかります。
東京など電源周波数が50Hzの地域でインバータ運転をする場合、インバータモータは60Hz定格なので60Hz(1750r/min)での定格、SFを用いる必要があります。
※ギヤモータのカタログ・選定表をご理解の上、最適な機種選定を行ってください。
※ご不明点等ございましたら、お近くの営業所やお客様相談センターへご相談ください。