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皆さんは機械装置を設計する上で、目的とする機械装置の性能や構造部分の必要強度・必要動力を得ようとする時、「慣性力」を数値で確認しているでしょうか?

 

▼慣性(Inertia)とは
外力の変化が無い限り、物体が同じ運動状態を持続しようとする性質です。

 

▼慣性モーメント(Moment of Inertia)とは
回転する物体がその回転運動を持続しようとする、慣性の大きさを表す量です。

 

「J=M×(D/2)2 kg・m2」 M:物体の質量、D:回転体直径

 

慣性モーメントは物体の形と質量分布によって決まり、簡単な形状の慣性モーメントの算出式が準備されております。(カタログ技術資料をご参照ください)

 

▼慣性モーメントはギヤモータの選定においてなぜ必要なのか
停止している機械装置を回転するときには、その装置の慣性モーメントに打ち勝つ回転力が必要です。また、回転している機械装置を停止するにはその装置の慣性モーメントにより停止時間(停止距離)が異なります。
必要な停止時間、停止精度を得るためには、その装置の慣性モーメントを把握してブレーキ性能を決定する必要があります。

 

従って、ギヤモータの選定には機械装置の始動時にその装置の慣性モーメントを考慮した始動トルク(動力)が必要です。さらに始動時間が限定される装置の場合も慣性モーメントがかかわってきます。
停止時には停止時間(距離)が限定される場合は、その装置の慣性モーメントを考慮したブレーキ性能やブレーキ制動方式の選択が必要です。

 

また、始動時/停止時にはギヤヘッド部分にその機械装置の慣性モーメントに相当する慣性力が作用しますので、それに相応した「サービスファクター」のギヤヘッドを選択する必要があります。

 

これらの検討には「モータ軸換算の慣性モーメント・GD2」を算出の上判断します。

 

▼慣性モーメントとGD2の関係について
慣性モーメントは力学量の質量(SI単位)を用いて表していますが、工業分野では装置の重量(重力単位)「GD2」(ジーディスクエア 注:式ではなく記号です)を用いていました。現在は国際単位の「SI単位系」が主体になっています。
私たちが日常の中で「重さ」と呼ぶものには、質量 M=1kg(SI単位)と、重量 W=1kgf(重力単位)の2種類があります。この関係は「W=M×9.81」で表されます。
従って、慣性モーメントの単位は「kgm・2」で、GD2(ジーディスクエア)の単位は「kgf・m2」となります。また、慣性モーメント(J)とジーディスクエア(GD2)の関係は「J=GD2/4」となります。

 

ギヤモータの運転には、商用電源運転とインバータを用いた運転があります。
慣性モーメント/GD2が大きい場合、インバータを使い加減速時間を長く設定して運転することでモータ選定時の動力容量を軽減することができます。
(緊急時の商用電源運転も検討を要する場合がありますので注意ください。)
ギヤモータの容量には、始動に必要なトルク、加速に必要なトルク、運転中のトルク、減速や停止に必要なトルクが含まれます。更に、周囲環境を考慮した上で最適な選定を行ってください。

 

▼動力技術支援
当社のウェブサイトではサイクロ減速機、アルタックスNEO、ハイポニック減速機のモータを使用した場合の動力計算を行えるツールがございます。こちらもぜひお役立てください。
http://cyclo.shi.co.jp/apps/power-calculation/

 
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