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今回は、多く問い合わせをいただいている「AGV/AMR駆動モータ」について説明いたします。
近年、日本では労働力不足の問題や新型コロナウイルス感染拡大により、各産業で自動化・省力化の動きが加速しました。
しかし少量多品種対応による混流生産など、生産方法の柔軟性が求められるようになった製造現場で画一的な自動化・省力化を図るのは難しいと言えます。
たとえば、コンベア機器のように大きさや長さを決めて製作する装置では、最大搬送物に合わせた能力で設計するため過剰性能になる、荷物通過後も回転し続けるため不要なエネルギーが発生する、などの省エネ化への課題があります。
そのため、搬送物ごとに最適な経路で運搬ができるAGV(無人搬送車)/AMR(自律移動ロボット)が注目されています。
また、AGV/AMRは台車に機能部のアプリケーションを追加することで、自動化機器としての活用も期待されています。
AGV/AMRの機能が「運搬」「搬送」から「自動化機器」へ用途拡大することで、駆動モータに求められる性能も変わってきました。
AGV/AMRの駆動モータ選定を3つのポイントで説明します。
2022年、AGV/AMRに関する規格として『JIS D 6802 無人搬送車及び無人搬送車システム―安全要求事項及び検証』が改訂されました。
AGV/AMRは多くのセンサや通信機器によって高精度な走行制御、作業者や障害物の検知、周辺機器との通信を行うことで高速化・高機能化していますが、当該規格ではこれらの機器に不具合が発生したときを想定し、通常の制御回路と分けられた安全(セーフティ)回路を設けることが記載されています。
AGV/AMRの台車は搬送物質量、台車質量を含めた総質量を各車輪で分担して受け持ち、駆動輪にかかるラジアル(垂直)方向の荷重は減速機軸受へ多く掛かります。
その場合、減速機の許容ラジアル荷重が大きい製品ほど高荷重に耐えられることになります。
AGV/AMR駆動部の基本動作には「動く(走る)」、「曲がる」、「止まる」があります。
コントローラーからドライバに回転方向と回転数の指令を与えることで、モータは指令値に従って駆動します。
2台のモータでAGV/AMRを駆動させる場合、正確に直進するためには左右のモータの回転数同期性が求められます。
方向転換時は左右のモータの速度差で旋回させますが、台車を安定して操舵するためには、走行路面の状況や段差などで負荷が変動した場合でも、指令値通りの回転数で運転ができる追従性や速度応答性も重要な要素になります。
そして最も重要な要素に「止まる」があります。早く止まるだけではなく、他の機器と連携しながら精度よく止まることが重要になります。
いくらセンサで精緻な位置情報を得たとしても、目標位置で正確に停止できるモータの制御性能がなければ、正確な位置に止めることはできません。
以上、AGV/AMRの駆動モータ選定の3つのポイントについて解説しました。
当社の「AGV/AMR用ドライブソリューションsmartris」はギヤ・サーボモータ・ドライバをワンパッケージとすることで、AGV/AMR用途として駆動性能を最適にチューニングしてお届けしています。
それぞれの機器の組合せを考えることなく、ご使用環境、台車速度、搬送質量などの基本的な条件をご提示いただくことでAGV/AMR駆動部選定が可能です。
また、smartrisは上記の選定のポイントで挙げた①安全機能、②外部荷重、③モータ制御性能を高い基準で満たす製品です。
モータトルクを遮断して不慮の再起動を防ぐSTO(セーフトルクオフ)機能や安全(セーフティ)規格に対応した回転検出器など、安全性能の向上に応えるオプションをご用意しており、基本性能を揃えたECOタイプの他に、高荷重に耐えられるPROタイプもお選びいただけます。
さらに、回転検出器にレゾルバまたはアブソリュートエンコーダを採用し、低速時の走行性能や直進・停止精度を含めた幅広い運転領域で安定した動作を実現しています。
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