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近年、インバータによりギヤモータを可変速運転する適用分野が拡大しています。
今回はインバータ操作の基本となるパラメータと制御方式について、ギヤモータとの組合せを含めて簡単に説明いたします。
インバータはモータの回転数に合わせて、基底周波数と最高周波数を設定する必要があります。
基底周波数と最高周波数の初期値は60Hzです。 インバータ用モータを適用すると1:10以上の定トルク特性が得られます。
周波数60Hzを超える運転では基底周波数を60Hzのままにして、最高周波数の設定を増加させて定出力運転を行います。
基底周波数までは定トルク特性に制御され、基底周波数より高い周波数域では周波数の増加に伴いトルクが反比例して減少する定出力特性になります。
ギヤモータを定出力運転する場合、ギヤ部の許容入力回転数を確認して最高周波数を設定するようにしてください。
基底周波数を変更(例:60Hz→50Hz)すると、定格負荷での電流が増加するため定格運転ができなくなることがあります。
この場合、定トルク特性を得るには減速比の変更やインバータの容量をアップするなどの対策が必要となります。
加減速時間の設定は、負荷トルクや負荷イナーシャが不明の場合、初期値より長めに仮設定します。
実機の負荷運転で加速時の電流をモニタし、定格の150%以内でギヤモータの加速ができる時間に設定変更を行います。
減速時間を極端に短く設定すると、過電圧エラーが発生する場合がありますので注意が必要です。
なお、減速時間を短く設定するには回生エネルギー吸収用の制動抵抗器が必要となる場合があります。
インバータ制御の基本は、周波数(Frequency)に比例した電圧(Voltage)が出力されるV/F制御です。
出力電圧はモータ定格電圧を設定しますが、受電電圧以上の電圧が出力されません。
V/F制御は低周波数領域でトルクを増加させるため、トルクブーストの調整が必要となります。
特にギヤモータを駆動する場合、定トルク負荷で始動トルク150%以上が必要のため、トルクブーストを増加させる必要があります。
しかし、必要以上にトルクブーストを高く設定するとモータが過励磁となり、振動、騒音、過電流の原因となりますので適度な調整が必要となります。
高機能タイプのインバータでは、センサレスベクトル制御が可能となります。
モータ定数のパラメータがインバータに内蔵されているモータを使用する場合は、オートチューニングを行う必要がありませんので、容易にインバータをスタートアップすることができます。
モータのオートチューニングを行う場合、基本的に無負荷状態で行います。
モータが回転するチューニングと回転しないチューニングがありますが、回転型の場合はオートチューニング中にモータがランダムに回転しますので、周囲の安全を確認して行う必要があります。
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