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ギヤモータは産業機械の駆動に幅広く適用されていますが、機械の安全面からブレーキ付きが多く採用されています。
ギヤモータ用ブレーキの概要と使用上の注意点について知りたいとのご要望がありましたので、本メルマガにてご紹介いたします。

1.ブレーキについて

ギヤモータ用ブレーキは、ブレーキトルクが安定している無励磁作動形のディスクブレーキをモータに直結したものが用いられています。
ギヤモータのブレーキは電源オフでブレーキ動作となるため、機械のフェールセーフの役割も果たしています。
ブレーキトルクはモータ定格トルクの150%(モータによって少し異なります)が標準仕様ですが、オプションで150%以外のブレーキトルクにも対応しています。
ブレーキは使用するにつれてライニング(ディスク)が摩耗しますので、ギャップ調整などの定期的な点検が必要となります。
なお、ブレーキの動作寿命は機種と使用方法により異なりますが、100万~200万回程度です。

2.ブレーキの電源電圧

ブレーキの電源電圧は国内向けの場合、基本的にモータ電源と同一です。
ブレーキコイルにはダイオードブリッジで構成された整流器を介して、交流から直流に変換された電圧が印加されます。
ギヤモータをインバータで駆動する場合、ブレーキ電源は必ずインバータの1次側から配線する必要があります。
インバータの2次側に配線すると、モータの低速時にインバータ出力電圧が低くなるためブレーキが解放しなくなりますので注意してください。
なお、ブレーキ電源に外部から高いサージ電圧が重畳されると整流器が故障する場合がありますので、電源にノイズフィルタなどのノイズ対策機器の接続を推奨いたします。

3.ブレーキの制動

ブレーキの制動には普通制動と急制動があります。
普通制動はモータ容量が大きくなるとブレーキの動作遅れ時間が長くなる傾向があるため、機械によってはブレーキのタイミングを考慮する必要があります。
昇降装置、コンベアなど短時間のブレーキ動作が要求される場合は急制動を使用することになります。
ギヤモータを急制動するには、ブレーキ回路に蓄積されたエネルギーを急激に減少させるため電流遮断(直流)が必要です。
ブレーキ回路の電流遮断(直流)には、交流用の電磁接触器が用いられる場合が多く、次の注意が必要となります。

① 電磁接触器(交流用)の接続

ブレーキの定格電流に適した電磁接触器を選定してください。
接点に加わる電圧を低減させるため、接点を直列接続して使用する場合があります。

② サージ電圧吸収用のバリスタを接続

電磁接触器の接点にバリスタが接続されていないと、接点寿命が極端に短くなります。
なお、ブレーキの制動回路の詳細はサイクロ減速機のカタログなどを参照してください。

ギヤモータのブレーキは機械の安全装置として使用されますので、点検・交換などが必要な場合は最寄りの認定サービス店までお問い合わせください。

カタログ(サイクロ減速機)
https://cyclo.shi.co.jp/document-download/list-document/?category_id=2&documentset_id=7&stoppage=0&lfpeid=yeqe7Y13Vzj4&lfmaid=1000214063-1

以上、ギヤモータ用ブレーキの概要と使用上の注意点について説明いたしました。
お客様の用途に応じた製品をラインアップしていますので、製品についてお気軽にご相談ください。

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