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小型ロボット用減速機には波動歯車装置という機構が広く使用されていますが、 当社の「精密制御用Eサイクロ減速機ECYシリーズ」は、波動歯車装置とサイクロ減速機の噛み合い理論を融合させた独自の機構を採用しています。
今回は、ECYシリーズの機構についてご紹介します。
波動歯車装置とは、楕円形状カムの外周に取り付けられた軸受を介して薄肉の外歯車をたわみ変形させ、その長軸上の2か所で外歯車と内歯車が噛み合う歯車機構です。
内歯車と外歯車は歯数が異なり、楕円形状カムが回転することで噛み合いが進むと、歯数差に応じて外歯車は内歯車に対して相対回転します。
内歯車を固定した場合の減速比は(内歯車の歯数-外歯車の歯数)/外歯車の歯数で求まります。
波動歯車装置はバックラッシがほとんど無いため高精度で、また減速段数一段で高減速比を得ることが可能です。
一般的な波動歯車装置は出力回転を取り出すために外歯車の一部がフランジ形状となっており、薄肉の歯車部とフランジ部との剛性の差異によって応力集中が発生します。
歯車部とフランジ部の距離を離すと応力集中を緩和できますが、全長が長くなり回転方向の剛性が低下してしまうデメリットがありました。
これに対して、ECYシリーズでは外歯車にフランジ部をなくした単純な円筒形状を用いることで外歯車の高強度化・高剛性化を実現しています。
出力回転を取り出すには減速用と出力用の2つの歯車が噛み合う必要がありますが、 これまで精密制御用サイクロ減速機で培ってきたエピトロコイド平行曲線を外歯車の歯形形状に採用することでスムーズな噛み合いが可能になり、高トルク・高位置決め精度に寄与します。
また、偏心体用軸受にころ軸受を採用することで高負荷容量化・高剛性化を実現しています。
一般的な波動歯車装置(同等サイズ)に比べ圧倒的な高トルク化を実現しており、お客様装置の小型化、高速化、高可搬化、長寿命化に貢献します。
2021年にモデルチェンジを行い、業界最大のトルク密度を実現した従来品から、さらに定格トルク・許容ピークトルクを30%アップした高トルク密度タイプを発売しました。
回転方向の剛性が一般的な波動歯車装置(同等サイズ)に比べ高いため、装置の強度アップや振動低減などが可能となります。
ラチェッティング(瞬間的な歯とび現象)しにくい構造によって、過負荷に対して高い安全性を有しています。
入力軸の中空径を大きくとっているため、ケーブルやシャフト等を貫通させて使用することができます。
今回は波動歯車装置と精密制御用Eサイクロ減速機 ECYシリーズの機構についてご紹介しました。
今までにない高剛性かつコンパクトな構造を実現したECYシリーズをぜひご検討ください!
https://cyclo.shi.co.jp/product/feature/controller/ecyclo_ecy.html?selection=category
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