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昨今、工場や物流倉庫における搬送効率の改善や少子高齢化に伴う労働力不足への対応として、 AGV(無人搬送車)やAMR(自律移動ロボット)の導入が進んでおり、 今後、人とAGV/AMRが協働する環境がますます増えていくと予測されます。
このような環境下において最も重要な課題が「安全」です。
IEC/EN(国際電気標準会議/欧州規格)やISO(国際標準化機構)では、業界ごとに安全に関する国際規格を策定していますが、技術の進歩とともに新たな提案や修正が活発に行われており、 日本国内においても、これらの国際規格への対応が求められるケースが増えてきています。
この中に、安全管理の考え方の1つである「機能安全」への対応があります。
機能安全は、機械・装置の本来の機能に加えて、安全・確実に停止させる機能などを付加することで、周囲に危害を及ぼすリスクを許容可能なレベルまで低減する安全方策のことを指します。
機能安全を実現することで、安全性の高いAGV/AMRの運用が可能となります。
当社の製品ラインアップの一つであるAGV/AMR用ドライブソリューションsmartrisは、以下の安全機能を有しています。
STOはsmartrisドライバに搭載されている安全機能です。
IEC 61800-5-2で定義されている機能で、駆動部へ供給される電力を完全に遮断することにより、トルクが一切発生しない状態とします。
不意に電源復帰した場合でも安全性を担保するための機能です。
smartrisドライバは、STO機能の有/無をオプションで選択できます。
STO機能有のドライバには、機能安全に適合した2チャネルのSTO入力と動作監視用の2チャネルのリレー出力が搭載されており、 TÜV SÜD(テュフズード : ドイツの第三者認証機関)での試験認証により以下のEN規格に適合しています。
EN 61800-5-2、EN 61508 SIL3 STO
EN ISO 13849-1 : 2015 カテゴリ3、PLe
STO機能はモータへの電力供給を遮断するため、停止状態を制御(維持)することはできません。
smartrisではギヤモータに標準でブレーキを搭載しており、STO機能有効後でもブレーキを作動させることで停止状態が維持されます。
smartrisギヤモータに取り付けられる回転検出器として、レゾルバ、アブソリュートエンコーダの他に、 オプションで安全規格に対応したアブソリュートエンコーダも選択可能です。
セーフティー対応アブソリュートエンコーダが適合している安全規格は以下の通りです。
IEC 61508/62061 SIL2/SILCL2
EN ISO 13849 カテゴリ3、PLd
smartrisドライバは、デジタル入力端子に「非常停止機能」を割り付けることができ、この端子をONにすることにより、AGV/AMRを非常停止(減速停止)させることができます。
smartrisは、上記の機能を組み合わせることで、機能安全を考慮したAGV/AMR駆動システムを構成することが可能です。
上位の安全コントローラで、smartrisドライバのSTO入力(2チャネル)の操作とSTO動作監視出力(2チャネル)の監視を行うことにより、 機能安全に適合したSTO機能の実現が可能です。停止中のAGV/AMRに対して、モータ出力トルクを確実に遮断することにより、思いがけない事故を防止できます。
運転中のAGV/AMRに対してSTO機能が動作するとフリーラン停止となりますので、惰性で動き続けます。
そのため、STO機能は必ず停止中にご使用ください。
smartrisギヤモータのセーフティー対応アブソリュートエンコーダ出力信号を2つに分岐し、 smartrisドライバと上位の安全コントローラに接続することにより、機能安全に適合した速度監視が可能となります。
smartrisドライバの非常停止入力により、AGV/AMRを非常停止(減速停止)させることができます。
AGV/AMRのバンパースイッチや障害物・人感センサ等の信号でドライバの非常停止入力を操作することにより、衝突等の事故を防止することができます。
以上、smartrisにおける安全機能についてご紹介しました。
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