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インバータの機能向上に伴って、ギヤモータを使用した位置決め制御が増加してきました。

ここでは、ギヤモータを位置決め制御に使用する場合の概要と注意点について知りたいとの ご意見がありましたので、そのポイントについて説明いたします。

1.位置決め制御とは

位置決め制御とは、目標の位置に一定の速度で移動して停止し、繰り返し同じ位置に止まることです。

位置決め動作は、回転中のモータを制動させることにより、目標位置に停止させることです。

また、位置の許容誤差、位置決め応答性、負荷変動などを考慮して適用モータを選択することになります。

位置決め精度が要求される用途には、サーボモータやステッピングモータが用いられます。

当社のギヤヘッドとしては、「精密制御用サイクロ減速機」や「サーボモータ用減速機IBシリーズ」 の選択となります。

ギヤモータは、モータの慣性モーメントが大きく、位置決め時間、減速機のバックラッシの影響による 位置精度の問題があります。しかし、ギヤモータとインバータの機能や性能でも、それほど位置精度が 要求されない用途では、十分な位置決め制御が実現できます。

2.モータの制動方法

モータの主な制動方法は、以下のとおりです。

  • 電気式ブレーキ

    インバータ駆動の場合、減速時間が短い位置決めには、回生制動が必要となります。

    そのため、回生用の制動抵抗器を接続できるインバータが必要となります。

    また、停止精度を向上させるため、直流制動の機能を使用することがあります。

    モータの巻線に、直流電圧を印加し、制動力を発生させる方法です。

  • 機械式ブレーキ
    モータに直結される電磁ブレーキで、無励磁作動形となります。(電源OFFでブレーキ動作) ブレーキの動作方法として普通制動と急制動方式がありますが、位置決め制御の場合、 応答性が必要なため急制動方式が用いられることが多いようです。

3.ギヤモータによる位置決め制御について

位置決めの簡単な方法は、センサを停止用に用いて、センサがONした際にギヤモータを 停止させる方法です。多段速の減速を行い、速度を低下させてから停止する手前にセンサがあると 停止精度を向上させることができます。

制動の方法として、ギヤモータに直結された電磁ブレーキで停止させる方法とインバータの 直流制動機能を使用する方法があります。

なお、直流制動は、短時間でモータを停止させることができますが、 モータに直流電流を流すためモータが発熱します。そのため、頻繁の減速動作や停止時に 長時間の保持力が得ることができないので注意が必要です。

ギヤモータでも高精度の位置決め制御が必要な場合、パルス列入力方式の機能がある インバータを用いる方法があります。合わせてエンコーダ付のギヤモータを使用する必要がありますが、 1000~2000パルス/回転のインクリメンタルのエンコーダが用いられています。

モータの回転によりインバータ内部で、エンコーダのパルス数を積算することにより、 移動距離(目標位置)が求められます。パルス列制御でも±数パルス以下の位置決めが実現できますが、 停止精度は、ギヤのバックラッシに左右されます。

以上、ギヤモータを用いた位置決め制御について概要と方法について述べてきましたが、 機械の仕様に合わせたギヤとモータを選択することが重要となります。

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