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1.ブレーキの動作の仕組み、メンテナンスについて

モータ内蔵ブレーキはオフブレーキ(電源オフ時にバネ力で制動する)を採用しています。

停電などの電源電圧喪失の場合でも、ブレーキの制動力により機械を停止させることができます。

構造としては、ディスクブレーキを採用しています。

モータ軸にボスを介して円盤状のライニングを取付けているため、モータの回転に合わせて、 ライニングも回転します。

ライニングの両側には、金属製の固定板と可動鉄心を配置しています。

ばね力によって固定板と可動鉄心でライニングを挟みこんで制動力を生じさせます。

ブレーキを解放する時は、可動鉄心の外側に配置された電磁石の吸引力で、ライニングに押し 付けられていた可動鉄心を引き離します。この可動鉄心と電磁石コイルの間の隙間を「ギャップ」 と呼びます。

ギャップには規定値、限界値があります。ギャップが限界値を超えて広がると、電磁石による 可動鉄心の吸引力がばね力を超えられなくなるため、ブレーキの解放ができず、モータが 回らなくなるおそれがあります。

ギャップが広がる要因は、ブレーキの制動量と使用頻度によるライニングの摩耗であり、 ライニングの厚さが減少するためです。長期にわたり安心してご使用いただくためには、 ギャップ値が規定値以内に入っているかを定期的に点検することが必要です。

2.ブレーキの電源・入力電圧について

内蔵ブレーキはDC(直流)ブレーキを採用しています。その為、供給される交流電源を 直流に変換してブレーキ(コイル)へ供給します。この交流を直流に変換する部品として、 整流器を使用します。

中・小型の容量に用いる整流回路は、半波整流回路と呼ばれる交流波形中のプラスの波形 のみを出力する回路です。半波整流回路では、入力AC200Vで出力DC90V、入力AC220Vで 出力DC99V、よってブレーキのコイルはDC90V/DC99Vの仕様です。 入力AC400V級では それぞれ倍の電圧になります。

大きい容量用のブレーキ、例えばFB20やFB30以上では、交流電源投入時に解放の時間を 早めるために短時間高い直流電圧をかけます。定常時には電圧を下げる(半波整流)回路を 組み込んだ特別な整流器を使用します。

モータ同様ブレーキへの印加電圧も、定格電圧のプラスマイナス10%以内でご使用ください。 電圧低下が激しい場合、不用意なブレーキ動作や、ブレーキの解放ができないことがあります。

3.海外仕様のブレーキの対応について

  • 1)

    CEマーキング、EAC(ロシア)、中国、などの海外向け仕様では、容量によっては、 例えば AC220V/AC380Vなどの低電圧/倍電圧の共用電源モータになりますが、 内蔵ブレーキの電源仕様は単一のAC220V仕様です。半波整流してDC99Vのブレーキコイルに なります。普通制動回路ではモータに電源を供給し、モータとブレーキの整流器を接続します。 電源がAC380Vなどの倍電圧で、普通制動回路ではモータの中性点と呼ぶ配線からAC200V級を供給 できるため、これを整流器につなぐ推奨結線であれば使用できます。

    インバータを使用する場合などに使用する別切回路は、モータとブレーキと別々の回路で電源を 供給します。モータにはAC380V、ブレーキの整流器にはAC220Vと異なる電圧を入力する必要が ありますので注意が必要です。当社ではブレーキ電圧のAC380V指定も可能です。モータ電圧と ブレーキ電圧を合わせる仕様も対応できますので、営業へご照会ください。

  • 2)

    アメリカ向け、カナダ向け、韓国向けなどの海外向け仕様では、主にAC230/460Vなど、 低電圧/高電圧の共用電源仕様のモータになります。 ブレーキの電圧仕様はモータと同じ共用電源 仕様になっています。これは、整流器の配線を変えることで低電圧/高電圧どちらの電圧でもブレーキ へ同じ電圧を供給できるようにしているためです。

    モータの中性点を使用する必要はなく、整流器に低/高それぞれの電源を供給できます。 但し、低電圧時には全波整流回路、高電圧時には半波整流回路にすることで、ブレーキコイルに入力 する直流電圧値を合わせ、使用できるようにしていますので、配線を間違えるとブレーキコイルの故障、 動作不良になるため注意が必要です。

上のご紹介は海外仕様の一例となります。お客様のご使用の機種に対する詳細はカタログやお見積照会 にてご確認をお願いいたします。

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