ギヤモータの電圧や電流を、簡単な方法で測定したいという要望があります。
特にインバータ駆動の場合は、入出力の電圧、電流とも高調波成分を含んだ波形のため、
使用する計測器、測定方法に注意が必要です。
ここでは、ギヤモータの電圧や電流を簡単な方法で測定することについて説明いたします。
インバータでギヤモータを駆動すると、PWM波形のため出力電圧、出力電流とも
高調波成分を含んだ歪み波形となります。またインバータの運転周波数が可変となる
ため、計測器の周波数特性に注意する必要があります。
最近のインバータは、表示機能(モニタ)が充実していますので、パネル表示の電圧、
電流値によりギヤモータの負荷状態が把握できます。
①インバータの出力電圧の測定
整流形のアナログ電圧計を使用できますが、実際の値より約10%程度増加した表示と
なります。
デジタルボルトメータ(デジボル)を使用すると、データ計測のサンプリング時間の
問題で、実際の電圧より、かなり高めの表示となりますので注意が必要です。
②インバータの出力電流の測定
インバータとモータ間の配線を外さず測定できる市販のクランプメータが、便利です。
インバータの出力電流の測定には、インバータ対応のクランプメータを必ず使用して
ください。
注意点は、低周波数運転時(10Hz以下)の電流を測定する場合、クランプメータの
周波数特性を確認して計測を行う必要があります。
アナログメータの場合、可動鉄片形電流計を使用できますが、インバータのキャリア
周波数が高く(5kHz以上)なると、メータ内部の可動鉄片の振動が増大するため使用
できません。
また、50~60Hzの電流を測定するのにCT(電流トランス)を使用する場合がありますが、
周波数が低い領域になると誤差が増大します。
低速まで正確な電流測定を行う場合は、ホール素子の電流センサを用いて電流波形を
シンクロスコープで測定するか、デジタルパワーメータを使用することになります。
③インバータの出力周波数の測定
高周波、高調波成分を含んだ電圧波形なので、市販の周波数計で測定できません。
インバータのアナログモニタ端子からの周波数出力信号を利用してください。
DC0~10Vのアナログモニタを直流電圧計(例えば周波数目盛)で測定する方法です。
ギヤモータを商用電源で運転する場合は、正弦波交流のため以下の計測器が使用できます。
アナログのメータとして、整流形電圧計、可動鉄片形電圧計、電流計、などあります。
また、デジタルボルトメータで電圧、クランプメータにより電流を測定することができます。
以上、ギヤモータの電圧・電流などの測定方法について簡単に説明いたしました。
用途に適した計測器でギヤモータの電圧・電流を測定することにより、機械の負荷状態を
把握することができます。
その計測データは、機械のメンテナンス情報として役立つことと考えます。
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