電源電圧と三相誘導モータの定格電圧についてメールマガジン1月号でご紹介したしました。
今回は、その電源電圧に不平衡が発生している場合の影響がテーマです。
工場の電源電圧は様々な理由により、電圧の不平衡が発生することがあります。
この不平衡な電圧を三相誘導モータやインバータ等に給電された場合、不具合の原因となります。
例えば、200V/50Hzの場合、各相の電圧を測定した結果2相が200Vで残りの相が206.0Vで高いケースや逆に194Vで低い場合などの状態。更に1相は200Vで、残りの相が高い場合や低い場合です。
この状況は不平衡率として約1%不平衡ですが、2%近くになると機器への影響が顕著に発生します。この為、電源電圧の不平衡は1%以内に抑えることが重要です。
※ 日本国内の規格としては、JEC-2100.4.2.2、IEC-34-1に規定されています。
不平衡な電源電圧の下で三相誘導モータを運転した場合に発生する現象は、次のようなものです。
1)電流の不平衡
2)入力電力の増大と効率の低下
3)温度上昇の増大
4)振動・騒音の増加
5)出力トルクの低下・不安定
などが発生します。また、長期間に渡りこの様な状況下で運転された場合、モータの巻線劣化に伴うモータ焼損事故や地絡事故の原因となります。
不平衡な電源電圧下でインバータが設置されている場合、次のような不具合が考えられます。
1)低負荷率運転時の高調波の増大
2)インバータに電源投入時の一次側ピーク電流値の増大
3)コンバータ部コンデンサ劣化の進行を早める
などが発生します。特に、この不平衡な状況が大容量の電源の直下に設置されたインバータに遭った場合、インバータのコンバータ部回路の1相に急激に過大な電流が流入し、コンバータ部の破損事故の原因となります。
■ インバータ設置時の対策
インバータの保護対策としてインバータの一次側にACリアクトルを挿入し、突入電流の抑制とインピーダンスの確保を行うと共に、高調波抑制の対策になります。
ACリアクトルは、メーカオプションで準備しています。
但し、ACリアクトルを複数台のインバータ用として一括し1台のACリアクトルで対策した場合、その組み合わせによっては、各インバータにDCリアクトルの挿入が必要な場合があります。
ACリアクトルの代わりに1次側に絶縁トランスを設置する場合、4%~6%インピーダンスの物を適用下さい。
注意)電源電圧が規定の電圧より低く、不平衡の発生により、
不足電圧を検出しやすくなる場合、絶縁トランスで2次側への電圧値調整を
行うと共に、電源インピーダンスを確保してください。
不平衡の原因は様々ですが、その多くは電源系統(三相)に接続された単相機器の接続が偏っていることによるものです。単相機器の接続のバランスを取り不平衡の値を極力下げてください。
また、大規模な工場では電源とモータ、インバータ、その他機器間の長距離配線の影響で不平衡を引き起こすこともあります。
定期的に電圧値の測定と監視を行い、モータや他の機器への影響を軽減し安定した運転を行ってください。
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