住友重機械工業株式会社 PTC事業部

PTCワールドワイド 住友重機械工業株式会社

ギヤモータをインバータで可変速したり、ギヤ付きサーボモータを駆動する用途が増加しています。それに伴い、可変速装置が発生する高調波電流により、電源系統の電流の歪みや高調波障害が発生して問題となる場合があります。
また、IE3のプレミアム効率モータの普及に伴い、さらなる電源の力率改善が必要となります。

ここでは、電源高調波抑制と力率改善についてその対策を含めて説明いたします。

1.電源高調波とは

ギヤモータをインバータ駆動する場合、電源高調波が発生します。
インバータの入力電流は、平滑コンデンサを充電するため、パルス状となり5次、7次の高調波成分が多く含まれています。
インバータ駆動の増加とともに、高調波に対する規制が厳しくなり、経済産業省からは高調波抑制ガイドラインが示されています。

2.電源高調波の抑制について

インバータやサーボの入力側にACリアクトルまたは、直流側にDCリアクトルを接続することにより入力電流の導通幅を広げることで、5次、7次の高調波成分を低減できます。
また、ACリアクトルの他の効果として、電源協調と力率改善があります。

電源容量がインバータやサーボの容量の10倍以上、もしくは500KVA以上の場合、ACリアクトルにより、突入電流を低減させることができます。インバータ、サーボを突入電流に起因する故障、破損に対して保護することができます。

3.力率改善について

力率は、電源電圧と電流の位相差で表す基本波力率と、有効電力と無効電力の比で表す総合力率があります。
ギヤモータのインバータ駆動での力率は、コンデンサ負荷のため、総合力率で検討されます。
歪み率は、電源容量の大きさにより影響を受け、電源容量が大きいほど歪み率は大きくなり、力率が低下します。
力率は入力電流の歪みにより決定されるので、リアクトルは力率改善に効果があります。

ACリアクトルに加えて、DCリアクトルを設置しても電流の歪みを小さくすることができます。
ACリアクトルの選定は、電源容量により異なりますが、通常2~3%の電圧降下となるようにリアクトルを選択します。

インバータやサーボの同一電源設備に力率改善用の進相コンデンサが接続されている場合は 高調波電流が、進相コンデンサに流入して電圧が上昇したり、温度上昇や耐圧上の悪影響を与える場合があります。
進相コンデンサを除去するか、進相コンデンサに流入する高調波電流が過電流とならないような対策を行うことが必要となります。

4.アクティブフィルタ

電源設備に高調波、力率改善のためアクティブフィルタが使用される場合があります。

アクティブフィルタは電力変換器で、PWMコンバータが適用されます。
アクティブフィルタは、負荷電流の中から高調波電流の成分を検出し、電力変換器を制御して補償電流を発生させ、電源系統に注入して高調波電流を低減させる装置です。

アクティブフィルタは、高調波成分の補償電流を電源系統に注入することから、ACリアクトル、ノイズフィルタ、進相コンデンサとの共振現象に注意する必要があります。
アクティブフィルタは、25次までの高調波成分を低減させることができますが、ACリアクトル、ノイズフィルタ、進相コンデンサなどとの共振周波数は20次以上の高次の高調波成分となります。

共振現象が発生すると、電源に過大な電圧が印加されたことと等価となるので、電源系統に接続されているインバータなどの機器が瞬時に故障、破損する場合があります。
アクティブフィルタを調整し、電源設備に接続されるACリアクトル、ノイズフィルタなどとの共振周波数を回避することが適用上のポイントとなります。

以上、電源高調波抑制と力率改善対策について述べてきました。
ギヤモータの可変速駆動の普及に伴い、インバータやサーボの周辺機器やアクティブフィルタを用いて、電源系統への影響を抑えることが重要となってきます。

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