住友重機械工業株式会社 PTC事業部

PTCワールドワイド 住友重機械工業株式会社

インバータ運転中に瞬時停電が発生した場合、通常の機能設定されたインバータの運転では、「不足電圧」を検出しエラーとなり、トリップしてしまいます。

例えば台風、雷などの季節では瞬時停電(1秒以内に復電)が起こることが多く、その際、インバータはトリップして出力を遮断するため、モータはフリーラン(惰性で回り続けている)状態になります。
まだフリーランしているモータをインバータでそのまま再始動すると過大な電流が流れてしまいます、この場合の復電後の再始動方法についてお話します。

1.インバータでモータを運転中に瞬時停電が発生した場合

インバータは入力電源や、中間回路の直流部の電圧低下を検出し、保護機能によりトリップ(出力は遮断)します。 この時モータはフリーラン(惰性で回る)状態となります。

1)機械の慣性が小さく、負荷がかかっている(メカロスが大きいなどの)状態であればモータは短時間で停止します。
  復電後モータが止まっている状態からのインバータによる再始動は、通常の始動同様となり問題はありません。
  なお、復電後に自動的に再始動させる場合は、予めフリーランのモータが停止するまでの時間を待機時間とし、その後に再始動させる回路が必要です。

2)再始動時に問題となるのは、慣性が大きい装置のようにしばらくの間(長時間)モータがフリーラン、回り続けるような場合です。

  復電後、早くインバータで再始動としたい場合はモータが回転している状態でインバータで始動する必要がありますが、そのままでは「出力周波数とモータの回転数が合わない」、「電圧波形の位相(波形)が合わない」などのため、モータには定格電流の数倍以上の大きな電流が流れようとします。
  そのため正常な再始動が出来ません。
  過電流によるインバータの故障の恐れもあります。

このときの再始動時方法にはいくつかありますが

1)モータを止めずに最加速させて、運転を継続させるには、インバータの機能「瞬停再始動」、「すくい上げ運転」、「リトライ機能」などを利用することが必要です。
  この機能は、フリーランのモータの回転数をサーチして、フリーラン中のモータ回転数に相当する周波数から始動させます。過大な電流が流れないように電圧をかけながら、モータを再加速して元の回転数に戻します。

2)一旦止めてもよければ、機械式ブレーキなどで強制的にモータを止めてからの再始動もできます。

3)他に、瞬時停電時にモータを減速させ、モータからの回生(発電)電力を利用することで電源を確保し、トリップさせずに運転継続する機能もあります。

2.瞬停再始動・すくい上げ運転機能を使用するときの運転指令のご注意

1)運転指令は瞬時停電時および復電以降もオンのまま継続している必要があります。

2)瞬時停電の間、運転指令がオフになってしまう場合には再始動
  (モータ回転数サーチなど)専用指令のパラメータを使用する必要があります。
  
なお、専用の再始動指令を通常の運転時も使うことも可能ですがモータ回転数サーチの動作が入るため、始動開始に遅れが生じますので注意が必要です。

3.弊社インバータでの設定例として
瞬停再始動(リトライ)運転する場合の設定の一例を紹介いたします。
御使用される機械の特性に合わせ設定を決めてください。

1)HF430の場合
設定パラメータ例
b001:リトライ選択 =02(リトライ時にすくい上げスタート)
b002:瞬定許容時間 =1.0(秒)
b003:リトライ待機時間 =1(秒、復電後再スタートするまでの時間)
b005:瞬停・不足リトライ回数 =00(最大16回まで再スタート可能)
   
2)HF320αの場合
設定パラメータ例
F310:瞬停再始動制御選択 =1(瞬停再始動時)
F303:リトライ選択 = 5(回数を設定) 
  
機械の慣性モーメントが小さい場合、瞬停対策でインバータがモータの回転数をサーチしている間に停止してしまうような物には適しません。
また、瞬停対策を行う場合、関連する機械、ラインが瞬停に対応していないと効果が出ません。特に独立した単独の機械でない場合は注意ください。

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