住友重機械工業株式会社 PTC事業部

PTCワールドワイド 住友重機械工業株式会社

インバータの制御について、V/f制御とセンサレスベクトル制御の違いや特長、メリット、使い分け等を過去のメルマガでご紹介致しました。

2012年1月号では「V/f制御運転時のブースト調整」をご紹介しましたが、今回は「汎用モータのインバータ運転」をテーマにします。
従来から、汎用モータのインバータ運転は一般的に行われていますが、インバータの性能等の進化に連れ、その内容は変って来ています。

1.汎用モータのインバータ運転時の出力トルク

■ 1-1)連続運転時のトルク特性(V/f制御運転時)

負荷率%と運転周波数の関係は

60Hz --- 約95%
20Hz --- 約80%
6HZ --- 約40%

の値を描く特性になります。この値は平均負荷率を示しています。
最近のインバータで運転した場合、短時間(1分間)、瞬間的なトルクの値は、モータの定格トルクを出すことは可能です。

初期のインバータはインバータ自体の出力波形の問題でモータに流している電流値の割りにはモータの出力トルクが出ていない問題があり、汎用モータのインバータ運転ではトルクが出にくい! そのためにインバータ運転用モータを使いインバータも内容によってはモータ容量より大きな容量を組合せ、短時間運転を行った事も有りました。

最新のインバータは出力波形の改良により、初期より同じ電流値でもより大きなトルクを発生させられるようになってきています。 
特に高性能タイプの「センサレスベクトル制御」搭載インバータは、その性能の高さにより、汎用モータ運転+センサレスベクトル制御運転を行った場合の運転特性がインバータモータと組合わせた物に近い特性(負荷率/運転周波数)が得られます。

■ 1-2)連続運転時のトルク特性(センサレスベクトル制御運転時)

◎ HF320α(センサレスベクトル運転)+汎用モータ(0.1、0.2kW)

60Hz --- 約100%
20Hz --- 約100%
6HZ --- 約100%

◎ HF320α,HF430(センサレスベクトル運転)+汎用モータ(0.4~22kW)

60Hz --- 約100%
20Hz --- 約100%
6HZ --- 約80%

注)詳細はサイクロ減速機カタログ、アルタックス・ハイポニック減速機カタログの「汎用モータのセンサレスベクトル運転時のトルク特性」を参照ください。
  当社、センサレスベクトル制御インバータと当社汎用モータの組合せでの特性となります。
  センサレスベクトル設定、運転状況、周囲環境等で考慮が必要な場合ご照会ください。

2.汎用モータのインバータ運転での注意事項

■ 2-1)既設の汎用モータをインバータで可変速する場合

従来商用電源で運転していたモータの配線ケーブルサイズはインバータ運転時のケーブル選定サイズに比べ小さいものが通常で、そのままインバータ運転した場合、ケーブルによる電圧降下が発生し、インバータを調整しても十分なトルクを出せない場合があります。

■ 2-2)400V級の汎用モータをインバータ運転する場合

400V級のインバータで汎用モータを運転した場合配線長と配線ケーブルサイズの状況によりモータが焼損する危険があります。
これはインバータの出力波形の影響でマイクロサージが発生しモータ巻線でコロナ放電による焼損事故と同様な状況が起こります。
また、このマイクロサージは軽負荷であっても発生します。発生時期としては、稼動後の数ヶ月間に焼損事故が集中します。
 
■ 対策
モータ配線距離が、おおよそ20mを越えるマイクロサージの影響が出始めます。
対策としては、インバータの出力側に配線距離に合わせた対策を行います。  

1)出力側用ACL挿入による対策
  20m~約80m(配線距離)

2)マイクロサージ対策用フィルタ挿入による対策
  約80m以上(配線距離) 

インバータ出力側にACL挿入による軽減対策では約100m以上で軽減効果が薄れます。
また、モータの配線ケーブルのサイズが大きい場合、マイクロサージの発生に対し多少軽減される傾向にあります。

注)新規に汎用モータ+インバータ運転を行う場合当社汎用モータのオプションとしてマイクロサージ対策を必ずご指示ください。高効率モータも同様です)

2.汎用モータのインバータ運転での注意事項 - インバータの設定

■ 3-1)電子サーマルの設定

汎用モータをインバータ運転する場合、電子サーマル設定を汎用モータに設定(工場出荷値)で通常使用します。
但し、センサレスベクトル運転で定トルク運転に設定した場合特性を汎用モータから定トルク運転用に設定し運転します。

■ 3-2)センサレスべクトル制御運転設定

汎用モータをセンサレスベクトル運転を行う場合、その方法は
a. オートチューニングを行い、モータ定数を設定
b. モータ定数を個別パラメータに個々に設定

注)オートチューニングはモータとインバータの組合せにより定数が上手く読み込まれないことがあります。
  このような場合、軽負荷、モータ単体であっても過負荷で始動できないような状況になったり、トルクが十分に出ない状態になります。
  この様な場合はモータ定数を個々に設定してください。

■ 3-3)インバータの運転・停止

従来の電磁接触器の替わりにインバータを設置した場合インバータの電源は運転中常に投入し、運転・停止はインバータ端子台の正転運転または、逆転運転の外部運転指令で行って下さい。
インバータの電源を入り切りする事で運転を行うような回路にした場合、インバータの直流電源部の劣化を早めます、また故障の原因となる事もあります。ご注意ください。

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