住友重機械工業株式会社 PTC事業部

PTCワールドワイド 住友重機械工業株式会社

三相誘導モータ故障の部位で多い順位は一番目が「軸受部位」で2番目が「コイル部位」であるとある統計に出ています。先月は一番の「軸受」の保守について述べましたが、今月は2番目に多い「コイル」の損傷例とメンテナンスについて述べてゆきます。

■ コイル損傷の代表的な事例について

1.起動・停止頻度の多い反復運転によるモータ固定子巻線の焼損
【原因推定】
高い始動電流の繰り返しで熱的絶縁劣化を起こし、レアショートによる接地焼損

2.周囲温度の上昇高温によるモータ固定子巻線の熱劣化
【原因推定】
モータ巻線の熱劣化はアレニウス法則に従うとされ、E種絶縁で10℃上昇で寿命が約半減するとされている。

3.塵埃環境によるモータ固定子巻線の焼損
【原因推定】
周囲の粉塵、油分が冷却ファンカバーメッシュ部や冷却ファンに付着し、冷却効果が減少してモータ温度が上昇にいたった。

4.吸湿によるモータ固定子巻線の焼損
【原因推定】
モータ内部に水が侵入又は、結露による吸湿の為絶縁劣化を起こし地絡に発展した。

5.渦電流によるモータの局部焼損
【原因推定】
回転子鉄心と固定子巻線との接触により絶縁が破れ、鉄心に局部的に渦電流が流れ、その熱により巻線が局部過熱された為

■ コイルの絶縁劣化の要因

1.熱的要因
a.ヒートサイクル劣化(始動・停止が多い)は負荷変動などの冷熱サイクルにともなう絶縁物と導体間の温度差の熱膨張差により生じるせん断応力の繰り返しが原因

b.熱劣化は長期間運転での過熱の為、絶縁物を構成する樹脂材料の熱膨張や熱分解にボイドが生じ電気的機械的に絶縁性能が低下する

2.機械的要因
電磁力や外力による振動で磨耗やひずみが繰り返される

3.電気的要因
サージの侵入、部分放電

4.物理・化学的要因
環境の影響が主でダストの付着や吸湿による絶縁表面抵抗の低下、特に塩分が付着したときはその低下が著しい。
これらの劣化は上記要因が単独で作用する事はまれで、各要因が相互に関連して複合的に劣化が推進される。

■ コイルの日常的保守点検 (全閉外扇形モータの場合)

1.コイル絶縁抵抗値の測定とその変化
2.引き出し(リード)線の接続状態点検
3.電圧変動が±10%以内の事
4.電流値に過大電流や不平衡、脈動がないこと
5.エアーブローによる塵埃の除去(通風路)
6.臭気が焦げる匂いがないか
7.異常音がないこと

■ 主なモータ仕様による対策

1.耐熱クラスの絶縁種を高くする
2.耐湿ワニス処理をする
3.屋外、防水、防塵等の仕様を選択する
4.スペースヒータ、サーモスタットにする
5.400V級汎用モータをインバータ制御する場合は絶縁強化する(マイクロサージ対策の実施)

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