住友重機械工業株式会社 PTC事業部

PTCワールドワイド 住友重機械工業株式会社

弊社のギヤモータの機種選定を行なう場合の選定方法をご紹介しております。
今月は、装置の始動・停止頻度が高い場合のモータブレーキの検討についてご紹介いたします。

1.モータブレーキの使用条件から使用可否の検討をします。

モータブレーキで頻繁な制動動作を行なうと、ブレーキ摩擦面の温度上昇が高くなる為、温度上昇が過大にならないブレーキの使用方法、選定の必要があります。
この際ブレーキ仕様の許容仕事量E0(J/min)の値でブレーキ使用可否の判断を行ないます。

ご使用のブレーキの使用条件から制動仕事量を算出し、許容仕事量E0以下であることの確認が必要です。

検討に用いるブレーキの各値(許容仕事量E0、ギャップ調整までの仕事量、総仕事量Et)についてはサイクロ減速機のカタログをご参照ください。技術資料のモータブレーキのページに記載しています。

1)ブレーキの制動仕事量を算出します

ブレーキの制動仕事量は、装置の慣性モーメントJ(またはGD2)、モータの回転数、負荷トルクの条件により大きく変わります。
ご使用の装置での制動仕事量は次の計算式で求めることができます。

EB=(JL+JM)×N^2/182×TB/(TB±TR)

EB  : ブレーキによる制動1回あたりの制動仕事量(J)
JL  : ブレーキ付モータ以外の総慣性モーメント(モータ軸換算値)(kg・m2)
JM  : ブレーキ付モータの慣性モーメント(モータ軸換算値)(kg・m2)
N^2 : 制動開始時のモータ回転数(r/min)の2乗
TB  : ブレーキの制動トルク(N・m)
TR  : 負荷の反抗トルク(モータ軸換算値)(N・m)

また、重力単位系の場合の計算式は次の計算式になります。

EB=(GD2L+GD2M)×N^2/7150×TB/(TB±TR)

EB  : ブレーキによる制動1回あたりの制動仕事量(kgf・m)
GD2L : ブレーキ付モータ以外の総GD2(モータ軸換算値)(kgf・m2)
GD2M : ブレーキ付モータのGD2(モータ軸換算値)(kgf・m2)
N^2  : 制動開始時のモータ回転数(r/min)の2乗
TB  : ブレーキの制動トルク(kgf・m)
TR  : 負荷の反抗トルク(モータ軸換算値)(kgf・m)

*式中の±TRの符号について
+の符号:電源をOFFした時、負荷トルクがブレーキとして働く、減速する方向に働く場合

-の符号:電源をOFFした時、負荷トルクがブレーキとして働かない、減速する方向に働かない場合
      例えば昇降装置での下降動作に相当し、電源OFFした時加速するような負荷。

2)次に1分間あたりの制動仕事量を算出し許容仕事量E0と比較します。

EB×(1分あたりの制動回数)<E0  であることを確認します。

E0 : 許容仕事量(J/min)・・・参照)カタログ・モータブレーキ技術資料

制動回数が数分に1回から数時間に1回の場合は1分間に1回としてE0と比較してください。

注意点
インバータで減速し低速で制動ブレーキを使用する場合
停電等による非常停止の場合も考慮し、高速運転からの制動ブレーキ動作の場合の確認も行なってください。
許容仕事量を超えたブレーキの使い方の場合にはブレーキ摩擦面の異常発熱による焼損、摩擦面の変形や異常磨耗、ブレーキトルクの低下、ライニングの破損等によりブレーキが使用不能などに至る場合があります。

2.ライニング寿命

ブレーキのライニングは使用と共に磨耗します。磨耗の度合いは面圧、回転数、周囲条件、温度等により大きく異なるため、正確な寿命算出は困難になりますが次式で近似的に求めることができます。

ZL=Et/EB 

ZL : 寿命回数 (回)
Et : ブレーキライニングの総仕事量(J)
参照)カタログ・モータブレーキ技術資料

ライニングの使用限界厚さは機種により異なります。詳細はブレーキの取扱説明書をご覧ください。

3.ブレーキギャップの調整までの制動回数

ブレーキのライニングの磨耗が進んだ場合、ブレーキのギャップ(隙間)が広がりブレーキが解放できなくなります。
その為、定期的にブレーキギャップの点検、調整が必要になります。
使用条件によりライニングの磨耗の度合いは大きく異なりますが次式で近似的に求めることができます。

(ギャップの調整までの制動回数)=(ギャップ調整までの仕事量)/EB

(ギャップ調整までの仕事量)・・・参照)カタログ・モータブレーキ技術資料

ギャップの規定値、限界値は機種により異なります。詳細はカタログ、取扱説明書をご覧ください。

参考)機械的寿命について
FBブレーキの機械寿命は一般的使用条件においておおよそ200万回(ただしFB-30は100万回)になります。
機械寿命の回数を越えてのご使用の場合は機械部品の磨耗や破損による落下、暴走事故の恐れがありますので機械寿命の回数以下でご使用ください。

一般的使用条件:負荷の慣性モーメントがFBブレーキ付モータの慣性モーメント以下等



先月は「始動・停止使用頻度によるギヤモータのSFの選定とモータの許容熱容量での確認」を、今月は「停止頻度によるブレーキの検討」をご紹介いたしました。
始動停止の頻度の高い場合はギヤモータ、ブレーキそれぞれに対し厳しい運転条件となりますので、これらを併せてご検討の上機種選定を進めていただきたくお願いいたします。

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