住友重機械工業株式会社 PTC事業部

PTCワールドワイド 住友重機械工業株式会社

弊社ギヤモータの機種選定を行なう場合の選定方法をご紹介しております。
先月は、機械別負荷性質と一日の運転時間による選定を説明いたしました。
今月は、機械の始動・停止頻度と運転サイクル、慣性モーメント比(GD2比)からの選定をご紹介いたします。

**** 始動・停止頻度による選定 ***

始動、停止を頻繁に行う運転をする場合には、始動トルク、始動電流をした選定を行う必要があります。三相標準モータの始動トルクは定格トルクの2~3倍、始動電流は定格電流の4~7倍になり、平均の負荷率や、電流値に影響をおよぼします。また、負荷の慣性モーメント(またはGD2)が大きいほど影響を大きく受けます。
そのため機種選定では負荷の慣性モーメント(またはGD2)や始動停止頻度などを併せた検討をする必要があります。

1.負荷係数(SF値)の選定

ギヤモータの選定ではそのSF(サービスファクタ、安全率)が運転する条件での負荷係数以上であることが必要です。

始動停止頻度が高い場合の負荷係数を決定するためには次の3つの条件をチェックする必要があります。

(1)慣性モーメント比(またはGD2比)

慣性モーメント比=モータ軸換算の負荷の慣性モーメント/モータの慣性モーメント とし、

慣性モーメント比を3つに区分して選定します。
1区分・・許容できる慣性モーメント比≦0.3
2区分・・許容出来る慣性モーメント比≦3
3区分・・許容できる慣性モーメント比≦10

(2)始動停止頻度

1時間あたりの始動・停止回数で区分します。
・1時間あたり10回以下
・1時間あたり200回以下
・1時間あたり500回以下

(3)運転時間

1日の運転時間で区分します。
・1日3時間以下
・1日10時間以下
・1日24時間以下

(4)(1)から(3)の3つの条件で負荷係数の表より値を求めます。
負荷係数の表はご使用のギヤモータのカタログ(選定)をご参照ください。

ここでは サイクロ減速機の、運転時間10時間の場合の負荷係数をご紹介いたします。

1)始動停止頻度1時間あたり10回以下の場合

・許容できる慣性モーメント比≦0.3 : 負荷係数 1.00
・許容できる慣性モーメント比≦3   : 負荷係数 1.10
・許容できる慣性モーメント比≦10  : 負荷係数 1.35

2)始動停止頻度1時間あたり200回以下の場合

・許容できる慣性モーメント比≦0.3 : 負荷係数 1.10
・許容できる慣性モーメント比≦3   : 負荷係数 1.30
・許容できる慣性モーメント比≦10  : 負荷係数 1.50

3)始動停止頻度1時間あたり500回以下の場合

・許容できる慣性モーメント比≦0.3 : 負荷係数 1.15
・許容できる慣性モーメント比≦3   : 負荷係数 1.45
・許容できる慣性モーメント比≦10  : 負荷係数 1.60

2.モータの許容熱容量(C×Z値)

頻繁な始動はモータの温度上昇を大きくする為、始動頻度の許容値を表す数値としてC×Z値を用いて選定モータの使用可否を判断します。

(1)C : モータの慣性モーメントとモータ以外の総慣性モーメントの合計がモータの慣性モーメントの何倍に相当するかの値。

C=(JM+JL)/JM

JM:モータの慣性モーメント
JL:モータ以外の総慣性モーメント(減速機の慣性モーメントも含みます) 

慣性モーメントはモータ軸換算値を使用します。GD2でも同様に求めることができます。

(2)Z : 始動回数

1時間当たりの始動回数(回/時間)

Z=3600×N/(ta+tb)

N : 1周期の始動回数(回/cycle)
ta : 1周期の運転時間(sec)
tb : 1周期の休止時間(sec)

尚、インチング動作がある場合についてはサイクロ減速機のカタログ(選定)をご参照ください。

(3)(1)と(2)よりC×Zの値を求めます。

(4)負荷時間率%ED
1サイクルでの運転時間の割合になります。
許容熱容量C×Zの値を決める際の条件になります

%ED=ta/(ta+tb)×100 (%)

(5)C×Z値での判断

容量(KW)と負荷時間率%EDの条件で、モータの許容熱容量(C×Z値)が決まっています。
モータの許容熱容量の表はカタログ(選定)をご参照ください。

(6)例をあげて計算してみると以下のようになります

設定
・0.4KWの標準モータ
・モータ軸換算のモータ以外の総慣性モーメントがモータの慣性モーメントと同じ場合とします。
・1周期の始動回数 1回 N=1
・1周期の運転時間 ta=6秒
・1周期の休止時間 tb=4秒

1)Cの値
JL=JMとなり
C=(JM+JL)/JM =2

2)始動回数は
Z=3600×1/(6+4)=360回/時間

3)よってC×Z=2×360=720

4)負荷時間率%EDは
負荷時間率%ED=6/(6+4)×100=60%ED

5)標準モータ0.4KWでのモータの許容熱容量はカタログより

35%ED以下          : 1800
35%EDを超50%ED以下  : 2200
50%EDを超80%ED以下  : 1500・・・これが該当します
80%EDを超100%ED以下 : 1500

6)判定
C×Z=720 ≦ 1500より
0.4KWモータの使用が可能であると判定できます。

◆ギヤモータをインバータで運転する場合

前回(2月号)の機械別負荷性質による選定の場合と同じくインバータで運転する場合は直入れ運転と比べ低いSFを選定することが可能です。
モータは許容熱容量(C×Z値)を超えた条件でも使用できる場合があります。
これはインバータで運転する場合はソフトスタート、ソフトストップを行う為始動時の衝撃や始動時の電流を大きく軽減することができることによります。



次回は、ブレーキを使用して停止する場合のブレーキの使用頻度にかかわる検討について紹介いたします。

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