住友重機械工業株式会社 PTC事業部

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--- 小容量(0.1kW~2.2kW)三相誘導モータのインバータ運転最新事情 ---

サイクロ減速機や、ハイポニックギヤモータ等の多くの小容量三相誘導モータをインバータ運転した場合のお問合せをよくいただきます。

その内容としては、
1.モータの電流値が、ギヤモータ単体の無負荷状態で運転しているのに定格電流値と変らない!

2.ギヤモータ単体の無負荷状態で低速運転(6Hz~15Hz程度)しているのに電流値が高い!

などの質問をいただき、その容量は0.1kW~2.2kWに集中します。

この原因としては、モータに組み込まれている巻き線の抵抗値の高さにあり、モータ内部で電圧降下を引き起こします。(詳細は下記記載)
一般に容量が大きくなる(3.7kW以上)につれこの値は急に低くなります。
このため、0.1kW~2.2kWのモータがインバータ運転時に1、2項の問題が出やすい特性を持っていると言えます。
通常インバータの運転はV/f制御の定トルク制御で運転され負荷に合わせトルクブーストを調整を行います。
1.2項の問題はこのトルクブーストとの兼ね合いでおこります。

今回は、インバータの制御方式が高性能な(センサレスベクトル)タイプが増えており、センサレスベクトル運転の場合1、2項の問題はどう変るかを最新情報を含めご紹介いたします。

1.小容量モータは無負荷時に電流が増えるのか?

0.1kW~2.2kWの三相誘導モータは、1次抵抗値(巻き線の抵抗値)が高くなります。このモータをインバータでV/f制御で定トルク運転を行う場合低速域において、1次抵抗によりモータ内部で大きな電圧降下が発生します。これは、0.1kW~2.2kWのモータの巻線が細いためのものです。
この場合、電圧降下した分の補償を行うことで定トルク運転が出来ます。
補償は皆さんご存知の「トルクブースト」で、始動トルクや低速域のトルク調整を経験されている方も多いと思います。
V/f → E/f制御 をお聞きになられたことはあるかと思います。
これはモータ低速域においてモータ内部で発生する電圧降下を補償しモータの内部誘起電圧が正規の値になりように調整し運転するものです。

2.実際のモータとインバータで起きていること!

無負荷状態でトルク補償を行った設定で運転した場合、モータは過励磁状態になり無効電流の増加によりモータの定格電流値近く
更には、定格値以上の電流値になる場合があります。
ただ、この状況はモータに負荷が加わることで過励磁状態が解け電流値が定格値以内に収まってきます。更に負荷が増え過負荷になると定格電流値をオーバーします。
この場合の定格オーバした電流の成分は有効電流の増加であり過負荷状態です。
見かけ上無負荷とオーバロードの電流値はどちらも高くなりますが、モータの「すべり」で見ると無負荷の場合そのすべりは小さく、同期回転数(1500r/min、1800r/min)の1%程度ですが、実負荷が高い場合は汎用モーターではおおよそ5%程度あります。(当社製モータを基準に記載しています)  

では、インバータの低速域トルクブーストを下げて運転した場合はどうでしょうか?
トルクブーストを下げることで低速域の過励磁状態は解消されることが確認できますが、実際の負荷が掛かった場合、今度はV/f運転の低速域で電圧不足によるトルク不足と、電流増加の状態になります。

V/f制御モードでは実際の負荷状態でトルクブースト調整を行うために無負荷の場合は過励磁に近い状態になることもありますが、運転確認程度の使用では通常問題になりません。
ただし、6Hz付近での運転では定格値をオーバする容量もあり長時間の無負荷運転ではサーマルトリップの原因にもなりますので注意ください。 定トルク運転用のAFモータは6Hz時の電流値がモータ銘版に記載してありますのでご確認ください。

(AFモータ:当社インバータ定トルク運転用モータ)

3.インバータにより出荷時設定は異なる!

各メーカでインバータは出荷時設定として、V/f制御で設定され低速トルク補償(トルクブースト)も少なめに設定しています。
この補償量によりインバータ運転をした場合の電流値が異なりお問合せをよくいただくところです。

4.最新のセンサレスベクトル(磁束制御ベクトル等)と小容量モータ

ここからは最新事情になりますが、このセンサレスベクトル制御はとても便利で魅力的な制御方式です。
弊社HF320αシリーズ、HF430シリーズはセンサレスベクトル制御搭載のインバータです。
出荷時は一般的なV/f制御モードですが、制御方式をパラメータで変更し、同一容量のAFモータ(住友製インバータ運転用モータ)と組み合わせた場合、AFモータ使用の設定をすることでインバータに搭載されたAFモータの電気定数を読み込み、最大、最適に、モータの性能を引き出します。

負荷状態に合わせ、最適電圧、最適補正周波数、と位相を制御し小容量のモータで無負荷であっても過励磁にならず低い電流値で運転出来ます。
また、高トルクが必要な場合瞬時に電圧が制御され最適に運転されます。
簡略して説明しますと、負荷状態に合わせV/f(E/f)を基準に電圧が増減されます。負荷はセンサーにより電流が検出され制御にフィードバックされます。

注)従来の自動トルクブースト機能とは異なります。

センサレスベクトル制御時のトルクはV/f制御モード運転と比較した場合、同じ電流値でもセンサレスベクトル制御運転の方がトルクが確実に出ています。
お使いのインバータがセンサレスベクトル制御搭載であれば一度その設定を行って違いを確認されてはいかがでしょうか!

汎用モータを運転してもその低速時、始動時、運転中のトルクの違いがお分かりになられるはずです。

5.センサレスベクトル制御(磁束制御ベクトル等)のオートチューニング

各メーカから最新の高性能制御方式が出ていますが、搭載されているオートチューニングはそれぞれ異なる特徴を持っています。
このため、中にはうまくチューニングできなかったり、十分にモータの性能を引き出せない場合があります。手動モードで細かな設定と調整が必要になることや、モータメーカとインバータメーカそれぞれに詳細を確認の上調整必要な場合もあります。この点はその相性があるように思われます。

住友のインバータ用モータ(AFモータ、型式はAV)をインバータ運転する場合、最適のHF320αシリーズ、HF430シリーズはAFモータのデータを搭載し最適運転を行う制御で「AFモータ」の性能を最大に引き出します。
また、住友の汎用モータもご照会いただきご連絡さし上げます専用のパラメータデータを設定いただくことでAFモータ運転時のように住友製汎用モータの性能を最大に引き出せます。

HF-320αシリーズで住友のギヤモータ(汎用モータ付)を運転する場合モータのテストレポートの値をパラメータに設定するだけで簡単に高始動トルク、高トルクのセンサレスベクトル運転が出来ます。
詳細はご照会ください。

6.センサレスベクトル制御のメリット

a)センサレスベクトル運転はモータを速度制御(すべり制御)することで負荷の値に関係なく速度は一定となります。
このため、運転する機械、ラインの生産品質の向上にもお役にたちます。
AFモータとの組合せで高精度速度制御が可能です。

b)最近の省エネ対策にも有効です。
センサレスベクトル運転は定トルク運転時でもそのトルクを最適制御で運転するため、きわめて無効電流の少ない運転になります。
このため従来のV/f制御の定トルク運転に比べても省エネに関して有効となります。



HF320αシリーズ、HF430シリーズと住友製汎用モータの組見合わせによるセンサレスベクトル運転等のご照会をお受けいたしております。
専用設定による高性能運転をお届け致します。

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