■技術情報
--- 低速域のギヤモータのインバータ運転 ---
三相誘導モータをインバータで運転する場合の注意点として、低速域
6Hz前後の周波数についてお問合せを頂きます。
内容は、インバータ運転用のAFモータ(AV)と汎用モータの場合のケースです。
● ギヤモータのインバータ運転 (6Hz前後の運転) ●
汎用インバータの運転ではV/f制御運転が多く使用されています。
その制御範囲は1:10で6Hz~60Hzですが、どうしても3~5Hzを使いたい
と、お問合せを頂くことがあります。
この様な場合、台車等で停止精度を上げるための目的が有ります。
停止間際で極低速運転し、急制動回路を組んだメカブレーキで停止させる
物ですが、短時間運転(~10秒程度)であれば可能です。
但し、問題が少々あります。
小容量(0.1kW~0.75kW)モータでは極低速でトルクがうまく出ないことが
あります。このため、低速でトルクを出すために「トルクブースト」機能の調整
を行い、運転を可能にしますが、このトルクブーストは負荷量が変ってしまった
場合、都度調整が必要になることがあります。
また、V/f制御運転の場合負荷が大きくなるにつれ、モータのすべり量も
増えて、想定したモータの回転数より回転数が低くなったり、また逆に
負荷が軽い場合モータのすべり量が少なくなり、モータの回転数が高目
になってしまいます。
特に小容量のモータではモータの”すべり”が多いものが一般的であり
負荷の大きさでモータの回転数が大きく変動します。
例えば、
0.2kW 4P 200V/60Hz のモータの場合
負荷:25% では”すべり”は約1.5%
負荷:100%では”すべり”は約6.5%
となりその差は5%で90回転も変ります。
運転周波数が 4Hzの場合、同期回転数は120r/minで
100%負荷 → 25%負荷ではモータ回転数は
約 3r/min → 90r/min と大きく変化します。
従って4Hzで短時間運転を行い、100%負荷に近い状態になった場合
実際のモータ回転数はかなり低くなってしまいます。
また、負荷変動幅が大きければ停止精度を上げる目的で極低速運転
したはずなのに速度バラつきが発生し、思うような結果が得られないことに
なってしまいます。
ではどの様にこの問題を解決したらいいのでしょうか!
現在では高性能センサレスベクトルインバータがラインナップされています。
このセンサレスベクトルインバータは速度制御的に使用することが出来る
ため、極低速運転でも簡単に安定した運転が出来てしまいます。
例) AFモータ(住友のインバータ用モータ) + HF320α・HF430シリーズ
この組合せで運転した場合、4Hzで負荷率100%でも、負荷率25%でも
一定の回転数で運転できます。
また、この時のモータ回転数は、誘導モータの同期回転数となります。
つまり、4Hz指令に対してモータ回転数は120r/minとなり負荷状態に
関係なくこの120r/minで運転出来ます。
速度指令に対しての再現性が高く、安定した運転で計画当初の
結果が得られ易くなります。
*HF320α・HF430シリーズはセンサレスベクトル制御運転モードを搭載
しています。このモードは常にモータの負荷状態を検出し、インバータに
内蔵しているAFモータの電気的定数をベースにリアルタイムで最適な
モータ制御を行います。 この時インバータは負荷量に見合ったモータ
のすべり回転数(Hz換算)を基本周波数に加え見かけ上同期回転数で
運転されます。また、その運転精度は±1%精度であり安定した
性能を得られます。
注)AFモータの容量とHF320α・HF430シリーズの容量が同一であれば
インバータに搭載されたAFモータのデータを使用し高性能な
運転が簡単なパラメータ設定で出来ます。
またオートチューニングと異なりAFモータの電気的定数を直接
使うため、モータの性能を最大に引き出すことが出来ます。
他の方法としては、例えばサイクロ減速機の減速比を大きくした選定を
行い、極低速(3~6Hz)運転を6Hz以上の周波数で運転できるように
すると共に、高回転域(従来60Hz付近で運転していた領域)を
定出力運転域を組み合わせて対応する運転もあります。
この場合、定出力域での運転は出力トルク低下するため、事前の検討が
必要です。また、組み合わせる減速機により許容最高回転数があるため
確認が必要です。
住友のサイクロ減速機はモータと減速機の組合せパターンが
豊富で選び易く機械特性によっては、こちらのアプリケーションが便利な
ケースもあります。
*運転精度±1% → 速度制御精度で60Hzの速度(周波数)が基準に
なります。
----- まとめ -----
1.三相誘導モータのV/f制御運転では、負荷量に合わせモータの”すべり”が
発生し、低速域での運転では特にその影響を受けやすい!
2.小容量のモータは一般的にモータの”すべり”が大きいためアプリケーション
によっては注意が必要となる。
3.AFモータ(AV)+HF320α・HF430シリーズの組合せでセンサレスベクトル制御
運転を行うと簡単に速度制御ができる。また、この時のモータ回転数は同期
回転数となり、運転精度は±1%(HF430は±0.5%)となり安定した運転が
得られる。
4.サイクロ減速機のAV仕様はモータと減速機の組合せが豊富であり減速比を
大きく取り、運転周波数を60Hz以上の定出力運転域で使用することができる。
このため多様なアプリケーションに対応できる。
住友のギヤモータ、センサレスベクトルインバータは多様なアプリケーション
に対応可能です。また、海外仕様も対応できます。
皆様のご希望に沿いテーマアップいたしますので是非ご意見お寄せください。
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