住友重機械工業株式会社 PTC事業部

PTCワールドワイド 住友重機械工業株式会社

三相誘導モータをインバータで運転する場合の注意点として、低速域6Hz前後の周波数についてお問合せを頂きます。
内容は、インバータ運転用のAFモータ(AV)と汎用モータの場合のケースです。

ギヤモータのインバータ運転 (6Hz前後の運転)

汎用インバータの運転ではV/f制御運転が多く使用されています。
その制御範囲は1:10で6Hz~60Hzですが、どうしても3~5Hzを使いたいと、お問合せを頂くことがあります。
この様な場合、台車等で停止精度を上げるための目的が有ります。
停止間際で極低速運転し、急制動回路を組んだメカブレーキで停止させる物ですが、短時間運転(~10秒程度)であれば可能です。
但し、問題が少々あります。
小容量(0.1kW~0.75kW)モータでは極低速でトルクがうまく出ないことがあります。このため、低速でトルクを出すために「トルクブースト」機能の調整を行い、運転を可能にしますが、このトルクブーストは負荷量が変ってしまった場合、都度調整が必要になることがあります。
また、V/f制御運転の場合負荷が大きくなるにつれ、モータのすべり量も増えて、想定したモータの回転数より回転数が低くなったり、また逆に負荷が軽い場合モータのすべり量が少なくなり、モータの回転数が高目になってしまいます。
特に小容量のモータではモータの”すべり”が多いものが一般的であり負荷の大きさでモータの回転数が大きく変動します。

例えば、
0.2kW 4P 200V/60Hz のモータの場合

負荷:25% では”すべり”は約1.5%
負荷:100%では”すべり”は約6.5%   

となりその差は5%で90回転も変ります。
運転周波数が 4Hzの場合、同期回転数は120r/minで

100%負荷 → 25%負荷ではモータ回転数は約 3r/min → 90r/min と大きく変化します。
従って4Hzで短時間運転を行い、100%負荷に近い状態になった場合、実際のモータ回転数はかなり低くなってしまいます。
また、負荷変動幅が大きければ停止精度を上げる目的で極低速運転したはずなのに速度バラつきが発生し、思うような結果が得られないことになってしまいます。
ではどの様にこの問題を解決したらいいのでしょうか!
現在では高性能センサレスベクトルインバータがラインナップされています。
このセンサレスベクトルインバータは速度制御的に使用することが出来るため、極低速運転でも簡単に安定した運転が出来てしまいます。

例) AFモータ(住友のインバータ用モータ) + HF320α・HF430シリーズ

この組合せで運転した場合、4Hzで負荷率100%でも、負荷率25%でも一定の回転数で運転できます。
また、この時のモータ回転数は、誘導モータの同期回転数となります。

つまり、4Hz指令に対してモータ回転数は120r/minとなり負荷状態に関係なくこの120r/minで運転出来ます。
速度指令に対しての再現性が高く、安定した運転で計画当初の結果が得られ易くなります。

*HF320α・HF430シリーズはセンサレスベクトル制御運転モードを搭載しています。このモードは常にモータの負荷状態を検出し、インバータに内蔵しているAFモータの電気的定数をベースにリアルタイムで最適なモータ制御を行います。 この時インバータは負荷量に見合ったモータのすべり回転数(Hz換算)を基本周波数に加え見かけ上同期回転数で運転されます。また、その運転精度は±1%精度であり安定した性能を得られます。

注)AFモータの容量とHF320α・HF430シリーズの容量が同一であればインバータに搭載されたAFモータのデータを使用し高性能な運転が簡単なパラメータ設定で出来ます。
またオートチューニングと異なりAFモータの電気的定数を直接使うため、モータの性能を最大に引き出すことが出来ます。 

他の方法としては、例えばサイクロ減速機の減速比を大きくした選定を行い、極低速(3~6Hz)運転を6Hz以上の周波数で運転できるようにすると共に、高回転域(従来60Hz付近で運転していた領域)を定出力運転域を組み合わせて対応する運転もあります。
この場合、定出力域での運転は出力トルク低下するため、事前の検討が必要です。また、組み合わせる減速機により許容最高回転数があるため確認が必要です。

住友のサイクロ減速機はモータと減速機の組合せパターンが豊富で選び易く機械特性によっては、こちらのアプリケーションが便利なケースもあります。

*運転精度±1% → 速度制御精度で60Hzの速度(周波数)が基準になります。

まとめ

1.三相誘導モータのV/f制御運転では、負荷量に合わせモータの”すべり”が発生し、低速域での運転では特にその影響を受けやすい!

2.小容量のモータは一般的にモータの”すべり”が大きいためアプリケーションによっては注意が必要となる。

3.AFモータ(AV)+HF320α・HF430シリーズの組合せでセンサレスベクトル制御運転を行うと簡単に速度制御ができる。また、この時のモータ回転数は同期回転数となり、運転精度は±1%(HF430は±0.5%)となり安定した運転が得られる。

4.サイクロ減速機のAV仕様はモータと減速機の組合せが豊富であり減速比を大きく取り、運転周波数を60Hz以上の定出力運転域で使用することができる。このため多様なアプリケーションに対応できる。


住友のギヤモータ、センサレスベクトルインバータは多様なアプリケーションに対応可能です。また、海外仕様も対応できます。

キーワードで探す