◆ 技術情報 ◆
インバータの基礎知識 Ⅱ
■インバータ運転でのギヤモータの制動とメカブレーキ
制動トルクの必要なアプリケーションは多くありますが例として
台車等の搬送機器を考えます。
・・・インバータ運転で制動が必要になる場合・・・
制動機能が必要になる場合のアプリケーションを確認します。
□フリーラン停止時間より短く早く止めたい。
制動機能を使い早く停止したい。
□設定速度以上に機械(モータ回転数)速度が上昇しないように速度
を制御したい。
a.昇降機械などの下降モードで下降時に設定速度より早くなることを防ぐ。
b.ピンチロールのような機構部分の駆動で機械の基準速度的な役目をしており、
後段の機械から引っ張られるような場合でも制動をかけて設定速度
を維持する。
*このような場合連続回生になることが多く、本格的なベクトル制御機器を
採用してください。
□カム機構、変心負荷等のように回転中に力行運転と回生運転が存在する。
*力行運転とは通常の負荷運転状態をさします。
□負荷率に左右されずに一定の速度で減速したい。
□負荷率に左右されずに停止位置を安定させたい。
他にも多くの理由が存在します。また、速度、高停止精度の必要なものから
一般的なものまでその幅も広く存在します。
・・・インバータに必要な機能等を確認します・・・
□インバータに発電制動(抵抗器回生制動)機能が備わっている。
内蔵または、外部取付け(オプション機能)で使用できる。
□必要な制動トルク量が把握できている。
運転回転数、機械系の慣性モーメント、負荷率等から必要量が確認されている。
□インバータの抵抗回生能力(使用率、回生トルク値、連続回生時間等)
を確認できている。
回生用抵抗器の抵抗値で対応できる回生トルクが変わります。
また使用率の高い場合、インバータの回生制動回路の仕様や、外部抵抗器
の追加、変更等の対応では難しいことがあります。
検討時に疑問が生じた場合事前にメーカまでご照会ください。
*パワートランジスタの容量などコンパクト型インバータでは内蔵場合素子の
物理的サイズからも制限されるため、連続使用には外付けの制動制御ユニット
を付ける場合が多い。
□インバータ(外付け)の設置環境が確認されている。
発電制動により抵抗器が発熱するため、周囲温度、設置場所について考慮する。
□インバータの使いたい機能を端子台に割当てて利用できることを確認できている
→インバータフリーラン機能を使用
以上の項目は事前に検討が必要ですが、アプリケーションにより更に項目が増える
ことがあります。
また、昇降機等の場合はその回生量、運転モード等に十分に検討ください。
・・・制御精度を高めるためには・・・
制動精度、停止精度がある程度必要となった場合、汎用インバータの中でも
センサレスタイプを採用してセンサレス運転を行う必要があります。
センサレス運転をした場合、その制御は速度制御になり精度の高い速度
コントロールが可能になります。
この為、速度指令に対してその速度を維持するための制動コントロールが
高精度になり、安定した運転が可能となります。
更に精度が必要となるとフィードバックのかかるベクトル制御(センサ付き)
や、サーボ制御を考える必要が出てきます。
一方、V/F制御では、制御の目的が周波数をコントロールすることであり、
モータにはすべりが発生し、負荷変動にあわせすべり量も変化するためモータの
回転数は、運転周波数は安定していても実際のモータ回転数は不安定になります。
厳密な速度制御は向かず、停止位置精度や停止時間もバラツキがでます。
機械の要求精度に合わせ最適な制御方式のインバータを選んでください。
不明な点についてはメーカまでご照会ください。
・・・インバータの制動に加えメカブレーキを組合わせる・・・
メカブレーキは一般に停止時の機械系の位置の保持などの目的が多くなりますが、
台車等ではその停止位置精度も合わせて要求されます。
この様な場合、精度の出せる低速域まで減速した後にメカブレーキをかけること
で、位置のバラツキと時間のバラツキを軽減できます。一般的な目安としては
10数Hz~数Hzの速度まで減速させた場合安定します。
低速にすることで、機械系の慣性モーメントによる影響が低減されます。
また、この場合のインバータの制御は、ブレーキをかけるタイミングで
インバータの出力を遮断し(ベースブロックによるフリーランモード)モータを
フリーランにしたと同時にメカブレーキを作動させます。
メカブレーキをかける時点でインバータを通常の停止モードで停止すると、
パラメータに設定された減速時間に従って減速運転するため、メカブレーキを
かけているにもかかわらず、インバータは減速運転しながら停止することとなり
インバータの過電流検出を引き起こしたり、メカブレーキの効きが悪くなったり
します。
特に高速でインバータをフリーランモードにせずメカブレーキをかけると
過電流だけでなく、インバータ破損の原因ともなりますので十分注意してください
・・・・・ まとめ ・・・・・
1.機械の特性など回生制動の有無とその内容に合わせ負荷形態を考慮し
回生制動の必要性を確認する。
2.インバータの回生制動仕様は必ず確認する。
制動トルク値、使用率、内蔵・外付け 等。部品を取付けるスペースを
後で設けることは難しい。事前の検討が重要になる。
3.メカブレーキ付きの場合、ブレーキをかけるタイミングでは、インバータの運転
はフリーランにする。
4.メカブレーキを併用した運転での停止位置精度を必要とする場合、
一旦低速まで減速した後メカブレーキをかける。
(目安としては10Hz程度~数Hzの範囲まで減速させる)
5.センサレスベクトルタイプのインバータでセンサレス運転をすることで
従来の汎用インバータ(V/Fタイプ)運転より停止精度がでる。
センサレスモードは速度制御のため、負荷率に関係なく速度が安定し、
停止精度も安定する。
6.連続回生運転や、シビア(高精度)な位置制御は他の制御機器を検討する。
センサ付きベクトル制御、サーボ機器等
1)アプリケーションの特性上本格的な位置制御(停止位置精度の高い場合、
高速からの急停止を伴うような場合)はインバータ → サーボモータ
での制御を再検討ください。
2)連続回生を含むアプリケーションでは電源回生型の制動が可能な
高性能ベクトル制御タイプ(センサ付)等の選定を行ってください。
3)インバータには停止時に簡易的にモータ軸をロックするような
機能として、DCブレーキ機能が備わっているものが有りますが
サーボドライバーの機能とは大きく異なり注意が必要。
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